東京都文京区本郷2-13-10 湯淺ビル7階 東京市民法律事務所内

TEL 03-5802-7015

12月9日「奨学金の保証人ホットライン」のお知らせ

奨学金問題対策全国会議     
共 同 代 表  大  内  裕  和
共 同 代 表  伊  東  達  也
事 務 局 長  岩  重  佳  治

独立行政法人日本学生支援機構の学資金貸与制度では、個人保証の場合、連帯保証人と保証人の2名が必要とされ、連帯保証人には全額の支払義務があるのに対し、保証人には、法律上、頭数で割った金額つまり2分の1の支払義務しかありません。
しかし、機構は、学資金の借主の保証人に対し、組織的に全額請求を続けていたことが、報道等により明らかになりました。

これを受けて、当会議では、下記の要領で「奨学金の保証人ホットライン」を実施します。
今回のホットラインでは、他に連帯保証人がいるのに、全額請求された、全額を支払う約束をさせられた、全額支払ってしまった、半分を超えて支払った分を返してほしいなど、保証人からの相談を中心に、弁護士・司法書士が相談に応じます。
また、ご自身が奨学金を借りている方、連帯保証人になっている方などからの相談にも対応します。
奨学金の返済等でお困りの方など、お一人で悩まずに、気軽にご相談下さい。

また、一人でも多くの方が相談できますよう、関係各位には、拡散にご協力をいただきますよう、お願い致します。

  • ホットライン電話番号
    03-5800-5711
  • 日時
    2018年12月9日(日)10:00~17:00
  • 主催
    奨学金問題対策全国会議
  • 問い合わせ先
    03(5802)7015(東京市民法律事務所内)
    奨学金問題対策全国会議事務局長 弁護士 岩重佳治

独立行政法人日本学生支援機構に対し、分別の利益を無視した保証人に対する全額請求の即刻停止と、保証人から取得した支払義務のない金員全額の即時返還を求める緊急声明

声明文(PDF)のダウンロード

声明の趣旨
当会議は、独立行政法人日本学生支援機構に対し、学資金の借主の保証人が有する分別の利益を無視して保証人に全額請求する行為を直ちに止め、あわせて、これまで分別の利益を無視して保証人から取得した法律上支払義務のない金員は、保証人が敢えて返還を求めない場合を除き、これを直ちに全額返還するよう求める。

声明の理由

1 独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」と言う)の学資金貸与制度では、個人保証が付される場合、制度上、連帯保証人と保証人の2名が必要とされる。
この場合、本人が支払わないと、連帯保証人には全額の支払義務があるのに対し、保証人には、法律上、頭数で割った金額すなわち2分の1の支払義務しかない。
これを保証人の「分別の利益」という(民法第456条、第427条)。

2 しかるに、朝日新聞の2018年11月1日付の記事によれば、機構は、本人と連帯保証人が返せないと判断した場合、保証人に全額を請求し、その際、返還に応じなければ法的措置を取る旨も伝えていることが明らかになった。
機構によると、2017年度までの8年間で延べ825人に全額請求し,総額は約13億円、9割以上が裁判などを経て応じたという。

かかる請求は、保証人に対し、法律上支払義務のない金員の支払いを求める行為であり、法律上原因のない請求である。
2分の1を超える金員を保証人から取得すれば、保証人が支払義務のないことを知りながら敢えて支払った場合以外は、その財産権の移転は法律上正当化されず、不当利得として、保証人の返還請求の対象となるものである。

上記記事によると、機構は、「法解釈上、分別の利益は保証人から主張すべきものと認識している」、「法的に問題のない請求」と説明しているとのことであるが、完全な誤りである。
分別の利益は、もともと連帯保証人と保証人の2人の保証人がいる場合には、当然に、保証人の支払義務を法律上2分の1に減ずるものであり、保証人が分別の利益を主張するか否かとは全く関係がない。
機構は、保証人に対し、もともと、法律上、2分の1の金額の請求権しかないのであり、保証人には2分の1の支払義務しかない。
保証人に対する全額請求は、保証人に対し、義務なき支払いを求める行為以外の何ものでもない。

このような機構の請求は、分別の利益を知らない保証人の法的知識の欠如につけ込んで、法律上正当化されない金員の取得を目指すものであり、かかる行為を組織的に行ってきたことは極めて不当であり、大きな社会的非難を免れない。

3 なお、分別の利益は、訴訟法上、いわゆる抗弁と位置づけられているが、それは、機構の全額請求を正当化するものでは断じてない。
分別の利益は、消滅時効の抗弁のように債務者の主張によって効果を生ずるものではなく、当初から、保証人の支払義務の範囲が法律上2分の1に減ぜられるものだからである。

これに関し、同じく抗弁と位置づけられる弁済の抗弁について言えば、例えば100万円の貸金のうち借主が30万円を弁済すれば、(利息や損害金を考慮しなければ)残債務は70万円であって、貸主が法律上70万円を超えて請求することはできない。
この場合、貸主が30万円の弁済の事実を知りながらそれに触れないで100万円を請求すれば、架空請求であるとの非難を免れないであろう。

分別の利益が抗弁であることが機構の全額請求を正当化するものではないことは、上記からも明らかである。
「抗弁」という分類は、当事者ではない裁判所の判断の枠組みを定めるものであって、法律上根拠のない請求を正当化する仕組みではない。

4 報道によれば、機構は、本年11月2日、学資金を返還中の保証人の一部について救済する考えを示し、全額の返還請求を受けて機構との返還計画に合意して返還中の保証人については、分別の利益を主張すれば減額に応じる旨を表明したとのことである。

しかし、そもそも保証人は、分別の利益を主張するか否かに関わらず、当初から全額の支払義務がないのであるから、減額の対象を分別の利益を主張した保証人に限るべきではない。
これに関し、機構は、すでに返還した額が総額の2分の1を超えている場合、超過分=過払金の返還に応じないとしているとのことだが、超過分の返還合意は、保証人が超過分の支払義務がないことを知りながら合意したのでない限り、保証人の法的知識の欠如につけ込み、保証人の錯誤を利用してなされた合意であるから、超過部分につき無効である。
よって、超過分=過払金は直ちに返還すべきである。

更に、機構は、返還を終えた人や、裁判の判決や和解で返還計画が確定した人は、返還中でも減額に応じないとしているとのことである。
しかし、保証人が総額の2分の1を超えて返還をした場合、超過分は機構の悪意による不当利得(民法第704条、第703条)として、機構は利息を付けて返還するとともに損害賠償をする法律上の義務を負うのであるから、返還を終えた人に対する返還を拒む正当な理由は何ら存在しない。
機構が訴訟の場で保証人に対して全額請求をし、保証人がこれを争わずに全額の支払いを求める判決が出されて確定している事案、または訴訟上の和解が成立している事案においても、もともと、保証人に全額の支払義務がないこと、及び機構には保証人に対して全額を請求する権利はないことに変わりない。
機構は、減額に応じない理由につき「法的に問題のない請求に基づいているため」と説明しているとのことだが、そもそも、2分の1を超える超過分につき、機構は保証人に対する法的請求権を有しない。
このような判決・和解は、機構の法律上根拠のない全額請求と保証人の法的知識の欠如によって得られたものに過ぎないから、法的に問題のない請求に基づいているとの説明は完全な誤りであり、減額を拒む理由たり得ない。

なお、もし、機構が、裁判所を利用した回収すなわち支払督促手続及び訴訟手続において、保証人のほかに連帯保証人が存在することを主張において明らかにしないまま、保証人に対する全額請求をし、これを認容する判決を取得していたとすれば、判決の不正取得であるとの批判を免れない。

5 よって、当会議は、機構に対し、保証人に全額を請求する行為を直ちに止めるよう求めるとともに、これまで分別の利益を無視して保証人から取得した法律上支払義務のない金員を直ちに全額返還するよう求める。

あわせて、これまで何人の保証人に対して2分の1を超える金額をいくら請求し、何人の保証人から2分の1を超える金額をいくら回収したかを、直ちに精査の上、その結果を公表するよう求める。

なお,返還後の本人・連帯保証人との関係については,本件の原因が機構の保証人の法的知識の欠如につけ込む極めて不当な回収方法にあることを踏まえ,適切な対応が必要である。

6 保証人が複数存在する場合に、分別の利益を無視して、保証人に対して全額を請求するような行為は、社会問題化したサラ金被害においても、商工ローン被害においても、過去に行われたことがない極めて不当な行為である。
ちなみに、貸金業者に適用される貸金業法第12条の6第1号は「貸金業者が資金需要者等に対し、虚偽のことを告げ、又は貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない行為」を禁止し、金融庁のガイドラインは「資金需要者等が契約の内容について誤解していること又はその蓋然性が高いことを認識しつつ正確な内容を告げず、資金需要者等の適正な判断を妨げること」は、これに該当するおそれが大きいことに留意する必要があるとしている。

学資金の貸与事業は教育の機会均等を図るための重要な事業であるが、だからこそ、その原資の一部が法律上の根拠なく、保証人の法的知識の欠如につけ込んで回収された金員であるという事実に驚きと怒りを禁じえない。
かかる行為を公的機関が組織的に行うことは、断じて許されるものではない。


当会議は、機構に対して、猛省を求めるとともに、かかる事態は法令違反もしくは著しく適正を欠くものであったにもかかわらず、これを放置し、独立行政法人通則法所定の措置をとらなかった文部科学省に対しても、猛省を求めるものである。
以上

独立行政法人日本学生支援機構 御中
文  部  科  学  省  御中

2018年11月8日      

奨学金問題対策全国会議     
共同代表  大  内  裕  和
共同代表  伊  東  達  也
事務局長  岩  重  佳  治

裁判所から支払督促が届いた・・、請求が来ているが収入が低くて払えない・・、延滞金が増えていく一方・・、自己破産するとどうなるの・・、これから借りようと思っているけどどこに注意すればいいの・・

奨学金返済等に関するお悩みは奨学金問題対策全国会議までご連絡下さい。
また、各地でも相談窓口を開設しておりますので、お近くの窓口までご連絡下さい。

  • 奨学金問題対策全国会議
    〒113-0033 東京都文京区本郷2-13-10 湯淺ビル7階
    東京市民法律事務所(事務局長 弁護士 岩重佳治)
    TEL 03-5802-7015(月曜~金曜 9:30~17:30)
  • 埼玉奨学金問題ネットワーク
    〒330-0064 埼玉県さいたま市浦和区岸町7-12-1 東和ビル4階
    埼玉総合法律事務所(事務局長 弁護士 鴨田譲)
    TEL 048-862-0800(月曜~金曜 9:00~17:00)
  • 奨学金返済に悩む人の会
    〒162-0815 東京都新宿区筑土八幡町2-21-301
    首都圏なかまユニオン気付(事務局 伴幸生)
    TEL 03-3267-0266(日中の時間帯対応可)
  • 反貧困ネットワーク神奈川 
    〒231-0005 横浜市中区本町3-30-7 横浜平和ビル4階
    神奈川総合法律事務所内(幹事 弁護士 西川治)
    TEL 045-222-4401(月曜~金曜 9:00~19:00)
  • 愛知奨学金問題ネットワーク
    〒462-0810 愛知県名古屋市北区山田1-1-40 すずやマンション大曾根2階
    水谷司法書士事務所(事務局長 司法書士 水谷英二)
    TEL 052-916-5080(月曜~金曜 9:00~17:00)
  • 奨学金問題と学費を考える兵庫の会
    〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通3-3-7 コウベセンタービル802
    氏家都子法律事務所(事務局長 佐野修吉)
    TEL 078-362-1166(月曜~金曜 10:00~19:00)
  • 和歌山クレジット・サラ金被害者の会(あざみの会)
    〒640-8269 和歌山県和歌山市小松原通5-15
    (事務局長 新吉広)
    TEL 073-424-6300(月曜~金曜 10:00~21:00)

~奨学金問題対策全国会議は、我が国から「奨学金被害」をなくし、真に学びと成長を支える学費と奨学金を実現するための団体です~

大学の学費が値上がりする一方で、家計は苦しくなり、今や大学生の2人に1人が何らかの奨学金を利用し、3人に1人が日本学生支援機構の奨学金を借りています。

学費の値上がりにより奨学金の借入額も増える一方で、就職難や正社員に就けないことによる低賃金などにより、大学を卒業しても奨学金を返せない多くの人が生まれてしまいました。

機構の奨学金の2011年度末の延滞額は876億円、延滞者数は33万人にも上っているのが現状です。

他方、機構の奨学金では、債権回収会社、ブラックリスト、訴訟等までも利用した徹底した回収強化策により、返済ができない人に対する無理な取り立てが行われ、奨学金を返したくても返せない人が、経済的にも、精神的にも追い詰められています。

奨学金の返済に苦しむ人は、構造的に生み出されている「被害者」です!

奨学金問題対策全国会議は、我が国から「奨学金被害」をなくし、真に学びと成長を支える学費と奨学金制度を実現するため、弁護士、司法書士、教員らを中心として2013年3月31日に設立された団体です。

日ごろの奨学金返済困難者からの相談活動や、全国各地でのシンポジウム、よりよい奨学金制度を作るための政策提言などを行っていきます。

大学生のみなさまへ
「奨学金問題」を卒論のテーマにしてみませんか?
大学生のみなさまにとって、とても、身近な問題であるとともに、「青年の貧困化」が指摘される中、ホットな問題でもあります。
そして、大学生のみなさまだからこそ、解明できる問題があると思っています。
これまで、私たちは、3人の方の卒論に協力してきました。
発表の場として、奨学金問題全国会議のシンポジウムも検討しています。