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2 法的救済-①自己破産-

2 法的救済-①自己破産-

①自己破産

Q 破産手続とはどのような手続きですか。
A 破産とは,財産をお金に換えて,債権者に配分し清算する裁判所の手続きです。
財産を配分して清算した後,残った負債を免除する免責の手続きがあります。免責の手続きにおいて免責許可決定を受けると,税金等一定の負債を除いて支払いを免れます。
機構の奨学金返還義務も,免責許可決定を得ると,支払いを免れます。

Q 私は,奨学金のほか金融機関からの借り入れなどを月々やりくりして返済をし続けてきたのですが,今般,不況による給料の減額で返済しきれなくなってしまいました。破産することはできますか。
A 個人の破産手続は,債務者が支払不能にあれば,申し立てることができます。
支払不能というのは,今ある財産や収入から考えて,債務を返済していく見通しが立たないことをいいます。
仮に,奨学金以外に借金がない場合であっても,奨学金について支払不能の状態にあれば,破産することができます。

Q 破産すると,家,自動車,家財道具などはすべて失ってしまうのですか。
A 破産手続は,建物・土地,自動車及び預貯金などを含めた全ての財産が清算の対象となるのが原則です。また,現在まで働いた分の退職金債権や,生命保険解約返戻金等も,その人の財産とみて,清算の対象とする運用がなされています。
しかし,当面の生活を保障する必要もあるため,一定の財産は清算の対象となりません(自由財産)。
例えば,生活に欠かせない家財道具,一定額の金銭・預金、一定額の生命保険解約返戻金,一定額の退職金支給見込額などは引き続き保有することができます。
自由財産としてどの範囲の財産の保有が認められるかについては,各地方裁判所によって,一定の基準が定められています。
その他,個別の事情に応じて,裁判所が,その他の財産についても保有を認めることがあります。
ただし,このような破産手続きとは別に,ローンが残っている自動車等は,債権者に引き揚げられ,債務の弁済に充てられることがあります。

(参考)東京地裁の個人破産の換価基準
東京地裁では,個人である破産者が有する次の財産については,原則として,破産手続における換価又は取立てをしません。
① 99万円に満つるまでの現金
② 残高が20万円以下の預貯金
③ 見込み額が20万円以下の預貯金
④ 処分見込額が20万円以下の自動車
⑤ 居住用家屋の敷金債権
⑥ 電話加入権
⑦ 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
⑧ 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
⑨ 家財道具
⑩ 差押えを禁止されている動産又は債権

Q 破産することによるデメリットはありますか。
A 破産手続が始まると,特定の資格については資格を失います。しかし,免責許可を受けてそれが確定するなど復権を得ると,そのような資格の制限はなくなります。
制限される資格の例としては,保険募集人,警備員,後見人,持分会社の社員などがあります。
また,会社の役員など委任契約に基づく関係は,破産手続開始決定によって,終了しますが,再び会社の役員に就任することは,法律上制限されません。

Q 破産することで家族にも迷惑が影響がありますか。
A 破産手続をしても,家族に法律上の影響は及びません。

Q 破産手続をしたことは,周りの人に知られませんか。
A 破産者は,官報という政府が発行する刊行物に住所・氏名などが記載されます。
官報は公開されていて,誰でも見ることができるものですが,多くの人は関心がなく,仕事上官報を確認する必要のある人以外は殆ど目にすることはないといえるでしょう。

Q 破産することで選挙権の行使ができなくなりませんか。
A そのようなことはありません。

Q 免責をうけた場合,保証人も免責されますか。
A 免責の効果は保証人には及びません。
したがって,保証人が免責を得るためには,保証人自身も破産手続開始申立て・免責許可申立てをして,免責許可決定を得る必要があります。

Q 破産手続をするには,どのくらいの費用がかかりますか。
A 個人の自己破産手続の場合,裁判所に納付する費用は,10万円から20万円とされるのが一般的です。
これについては,裁判所ごとに一定の目安となる運用基準が設けられていますので,弁護士に相談して費用の見通しを立てるのがよいでしょう。
また,そもそも破産手続の費用すら支払えない資産状況の場合,裁判所に納付する費用は,申立手数料(1500円)・予納郵券代(4000円)・官報公告費用(1万5000円程度)のみとなります。実際にも,個人の自己破産では,多くがこのケースに当たります。
破産手続費用に足る財産があるかどうかの判断は,各地方裁判所ごとに目安となる運用基準が設けられていますので,弁護士に相談して費用の見通しを立てるのがよいでしょう。
一般的な基準として,現金・預貯金などを含めた財産が20万円以下の場合には,破産手続費用が支払えない状況にあると判断されることが多いです。
この場合,オーバーローンの不動産や一定年数を経過した自動車などは,資産価値がないと判断されます。
なお,弁護士の費用は,裁判所に納付する破産手続費用とは別にかかります。

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