②個人再生
Q 機構の奨学金を返済していますが,借入総額も多額で,毎月の返済額も多く,到底全額返済できるとは思えません。しかしながら,自分の学費のために借入したので,破産するということも心理的に抵抗があります。全額を支払わないことになる自己破産以外に方法はありますか。
A 個人債務者再生手続(個人再生)があります。破産と同様に裁判所に申立を行う手続きです。個人再生には,①小規模個人再生と②給与所得者等再生の2種類があります。但し,破産に心理的な抵抗があるとしても,破産を選択する方がメリットがあることが多いので,弁護士によく相談して手続きを選択して下さい。
(解説)個人再生の概要
例えば500万円の負債を抱えた多重債務者が,100万円を3年間で返済するという再生計画を立て,これが裁判所によって認可され,そのとおりに100万円を3年間で返済すると,残額の400万円の債務が免除される制度です。
- 負債総額(但し,住宅ローン,担保付債権のうち回収見込額,罰金を除く)が5000万円以下の個人で,将来において一定の収入の見込みのある個人が利用できます。
- 弁済期間は原則として3年間の分割払い。特別の事情があれば5年を超えない範囲で延長できます。
- 債権者の消極的同意を要する「小規模個人再生」と債権者の同意を要しない「給与所得者等再生」の2つの手続があります。
- 支払不能に陥っていなくても,支払不能のおそれがあれば利用できます。
Q 小規模個人再生手続の概要を教えて下さい。
A 小規模個人再生手続の概要
- 住宅ローンなどを除く無担保債務が5000万円以下の個人で,将来において反復または継続して収入を得る見込みのある個人が利用できます。
→サラリーマンはもちろん,自営業者や農家でも利用可能
- 債権者の消極的同意が必要
再生計画案に同意しない旨を書面で回答した債権者が債権者総数の半数に満たず,かつ,その債権額が債権総額の2分の1を超えないことが必要です。
- 弁済額が「最低弁済額要件」と「清算価値保障原則」を満たすことが必要です。
① 最低弁済額要件
弁済総額が,以下の金額を下回らないこと。
ア 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円以下の場合
・その5分の1と100万円のいずれか多い額。
・但し,無担保債権の額が100万円より少ないときは,その額
・その5分の1の額が300万円を超えるときは,300万円。
イ 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円を超え5000万円以下の場合
その10分の1の額
② 清算価値保障原則
弁済総額が破産手続の場合の配当額を下回らないこと。
→サラリーマンはもちろん,自営業者や農家でも利用可能
再生計画案に同意しない旨を書面で回答した債権者が債権者総数の半数に満たず,かつ,その債権額が債権総額の2分の1を超えないことが必要です。
① 最低弁済額要件
弁済総額が,以下の金額を下回らないこと。
ア 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円以下の場合
・その5分の1と100万円のいずれか多い額。
・但し,無担保債権の額が100万円より少ないときは,その額
・その5分の1の額が300万円を超えるときは,300万円。
イ 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円を超え5000万円以下の場合
その10分の1の額
② 清算価値保障原則
弁済総額が破産手続の場合の配当額を下回らないこと。
Q 私は現在奨学金の残額が400万円あります。資産は査定価値30万円の自動車と加入する生命保険の解約返戻金25万円の合計55万円です。小規模個人再生手続をとった場合,毎月の返済はどうなりますか。
A 最も返済額が少ない再生計画案は,100万円を3年間で支払う,月額にすると約2.8万円の返済を行うという内容になります。
(解説)
- 最低弁済額要件
400万円×1/5=80万円<100万円
→最低弁済額要件は,100万円 - 清算価値保障原則
30万円+25万円=55万円
→清算価値保証原則は,55万円 - 最低必要弁済額
100万円>55万円なので,最低必要弁済額は,100万円
→これを3年間で返済すると,約2.8万円/月
Q 私は現在奨学金の残額が400万円,その他信販会社などからの借金が200万円あります。資産は査定価値50万円の車と保険の解約返戻金70万,それと現在の会社で15年ほど勤務しており,現時点で自己都合により退職すると480万円退職金が出るとのことです。小規模個人再生続をとった場合,毎月の返済はどうなりますか。
A 最も返済額が少ない再生計画案は,180万円を3年間かけて支払う,月額5万円の返済を行うという内容になります。
(解説)
- 最低弁済額要件
600万円×1/5=120万円>100万円
→最低弁済額要件は,120万円 - 清算価値保障原則
50万円+70万円+60万円(退職金の8分の1:東京地裁の場合)
=180万円
→清算価値保証原則は,180万円 - 最低必要弁済額
120万円<180万円なので,最低必要弁済額は,180万円
→これを3年間で返済すると,5万円/月