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救済制度

3 その他

ブラックリスト(個人情報信用機関への登録)

Q 奨学金を借りるために「個人信用情報の取扱いに関する同意条項」への同意が必要だと言われました。
個人信用情報とはどのような情報ですか。同意しなければ奨学金を借りることはできないのでしょうか。
A 個人信用情報とは,氏名・住所・生年月日・電話番号・勤務先などの個人を特定する情報と,借入額(貸与額)・返還日・返済状況などの金銭貸借契約に関する情報(経済的信用に係る情報)です。
日本学生支援機構は平成21年度以降に機構の奨学生として採用されるには,「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出することを奨学金貸与の条件にしていますので,同意しなければ奨学金を借りることはできません。

Q 奨学金を返還中です。日本学生支援機構から「個人情報の取扱いに関する同意条項」に同意するかどうか訊かれました。
同意する必要があるのでしょうか。
A 日本学生支援機構は,平成21年度以降に機構の奨学生として採用されるには,「個人情報の取扱いに関する同意書」を提出することを奨学金貸与の条件にしていますが,既に貸与中の人や返還中の人に同意を強制することはできませんので,同意する必要はありません。
但し,平成23年1月から実施されている減額返還制度の適用を受けるには,同意書の提出が必要です。
同意書を提出すると,返還を3ヶ月以上滞納した場合に個人情報信用機関に登録される可能性が生じます。

Q 奨学金を返還しないと個人情報信用機関に登録されると聞きました。
個人情報信用機関とはどのような機関ですか。また,情報の登録とはどのようなことでしょうか。
A 個人情報信用機関とは会員になった金融機関から個人信用情報を収集し,照会があった場合には情報を提供する機関です。
日本にはいくつかの個人情報信用機関があり,それぞれ別の組織ですが,情報を相互に利用できるシステムを採用しています。日本学生支援機構は平成20年11月に全国銀行個人信用情報センターに加盟しています。
個人情報信用機関に会員が情報を提供し,機関が情報を受け入れてデータ化することを情報の登録といいます。ローン契約と同時に個人情報が提供されることもありますが,日本学生支援機構は,3か月以上の滞納があった場合に情報を提供すると定めています。

Q 個人情報信用機関に登録されると,どのような問題があるのでしょうか。
A 個人情報信用機関には返済状況が登録されます。
金融機関はこの情報を経済的信用性の判断に利用しますので,契約どおりの返還がされていない場合,経済的な信用性が低いと判断され,クレジットカードの発行やローンの申し込みなどを金融機関から断られる可能性があります。

Q 返還用の口座に入金することを忘れてしまったため,返還できませんでした。個人情報信用機関に登録されてしまうのでしょうか。
A 日本学生支援機構は3か月以上の滞納がある場合に個人信用情報機関に情報を提供することとしていますので,一度返還が遅れただけで個人信用情報が登録されることはありません。

Q 日本学生支援機構のHPには,個人信用情報機関への登録はブラックリストにのるということではないと説明されていますが本当でしょうか。
そもそも,ブラックリストとはどのようなものなのでしょうか。
A 日本学生支援機構のHPにはブラックリストというものは存在しない旨説明されています。
確かに,ブラックリストという名称のリストが存在するわけではありません。ブラックリストと呼ばれているのは,事故情報(契約どおりの返済がなされていない人又は契約に関する情報)をまとめたリストのことです。
日本学生支援機構は3か月以上の延滞がある場合に個人情報信用機関に情報を提供することにしているので,事故情報として登録される可能性があります。したがって,いわゆるブラックリストに掲載される可能性は否定できません。

Q 奨学金の返還を滞納してしまいました。
個人信用情報機関に登録されたかどうか確認することはできますか。
A 個人情報機関に開示請求をすることができます。日本学生支援機構が加盟する全国銀行個人情報センターの問い合わせ先は下記のとおりです。
 問い合わせ先(2012(平成24)年8月現在)
 〒100-8216 東京都千代田区丸の内1-3-1
 一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター
 Tel:0120-540-558(携帯電話,PHSからは03-3214-5020
 受付時間 月曜日~金曜日(祝日,12月31日~1月3日を除く)
 午前9時~正午,午後1時~午後5時

Q 個人情報信用機関に登録された情報を削除してもらうことはできませんか。
A 情報が間違っている場合を除き,削除してもらうことは原則としてできません。
返済が終了した後,5年が経過すれば情報は削除されることになっています。

2 法的救済-②個人再生-

②個人再生

Q 機構の奨学金を返済していますが,借入総額も多額で,毎月の返済額も多く,到底全額返済できるとは思えません。しかしながら,自分の学費のために借入したので,破産するということも心理的に抵抗があります。全額を支払わないことになる自己破産以外に方法はありますか。
A 個人債務者再生手続(個人再生)があります。破産と同様に裁判所に申立を行う手続きです。個人再生には,①小規模個人再生と②給与所得者等再生の2種類があります。但し,破産に心理的な抵抗があるとしても,破産を選択する方がメリットがあることが多いので,弁護士によく相談して手続きを選択して下さい。

(解説)個人再生の概要
例えば500万円の負債を抱えた多重債務者が,100万円を3年間で返済するという再生計画を立て,これが裁判所によって認可され,そのとおりに100万円を3年間で返済すると,残額の400万円の債務が免除される制度です。

  1. 負債総額(但し,住宅ローン,担保付債権のうち回収見込額,罰金を除く)が5000万円以下の個人で,将来において一定の収入の見込みのある個人が利用できます。
  2. 弁済期間は原則として3年間の分割払い。特別の事情があれば5年を超えない範囲で延長できます。
  3. 債権者の消極的同意を要する「小規模個人再生」と債権者の同意を要しない「給与所得者等再生」の2つの手続があります。
  4. 支払不能に陥っていなくても,支払不能のおそれがあれば利用できます。
Q 小規模個人再生手続の概要を教えて下さい。
A 小規模個人再生手続の概要

  1. 住宅ローンなどを除く無担保債務が5000万円以下の個人で,将来において反復または継続して収入を得る見込みのある個人が利用できます。
     →サラリーマンはもちろん,自営業者や農家でも利用可能
  2. 債権者の消極的同意が必要
    再生計画案に同意しない旨を書面で回答した債権者が債権者総数の半数に満たず,かつ,その債権額が債権総額の2分の1を超えないことが必要です。
  3. 弁済額が「最低弁済額要件」と「清算価値保障原則」を満たすことが必要です。
    ① 最低弁済額要件
    弁済総額が,以下の金額を下回らないこと。
    ア 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円以下の場合
     ・その5分の1と100万円のいずれか多い額。
     ・但し,無担保債権の額が100万円より少ないときは,その額
     ・その5分の1の額が300万円を超えるときは,300万円。
    イ 手続の中で確定した住宅ローンなどを除く無担保債権の額が3000万円を超え5000万円以下の場合
     その10分の1の額
    ② 清算価値保障原則
    弁済総額が破産手続の場合の配当額を下回らないこと。

Q 私は現在奨学金の残額が400万円あります。資産は査定価値30万円の自動車と加入する生命保険の解約返戻金25万円の合計55万円です。小規模個人再生手続をとった場合,毎月の返済はどうなりますか。
A 最も返済額が少ない再生計画案は,100万円を3年間で支払う,月額にすると約2.8万円の返済を行うという内容になります。

(解説)

  1. 最低弁済額要件
    400万円×1/5=80万円<100万円
     →最低弁済額要件は,100万円
  2. 清算価値保障原則
    30万円+25万円=55万円
     →清算価値保証原則は,55万円
  3. 最低必要弁済額
    100万円>55万円なので,最低必要弁済額は,100万円
     →これを3年間で返済すると,約2.8万円/月
Q 私は現在奨学金の残額が400万円,その他信販会社などからの借金が200万円あります。資産は査定価値50万円の車と保険の解約返戻金70万,それと現在の会社で15年ほど勤務しており,現時点で自己都合により退職すると480万円退職金が出るとのことです。小規模個人再生続をとった場合,毎月の返済はどうなりますか。
A 最も返済額が少ない再生計画案は,180万円を3年間かけて支払う,月額5万円の返済を行うという内容になります。

(解説)

  1. 最低弁済額要件
    600万円×1/5=120万円>100万円
     →最低弁済額要件は,120万円
  2. 清算価値保障原則
    50万円+70万円+60万円(退職金の8分の1:東京地裁の場合)
    =180万円
     →清算価値保証原則は,180万円
  3. 最低必要弁済額
    120万円<180万円なので,最低必要弁済額は,180万円
     →これを3年間で返済すると,5万円/月

2 法的救済-①自己破産-

①自己破産

Q 破産手続とはどのような手続きですか。
A 破産とは,財産をお金に換えて,債権者に配分し清算する裁判所の手続きです。
財産を配分して清算した後,残った負債を免除する免責の手続きがあります。免責の手続きにおいて免責許可決定を受けると,税金等一定の負債を除いて支払いを免れます。
機構の奨学金返還義務も,免責許可決定を得ると,支払いを免れます。

Q 私は,奨学金のほか金融機関からの借り入れなどを月々やりくりして返済をし続けてきたのですが,今般,不況による給料の減額で返済しきれなくなってしまいました。破産することはできますか。
A 個人の破産手続は,債務者が支払不能にあれば,申し立てることができます。
支払不能というのは,今ある財産や収入から考えて,債務を返済していく見通しが立たないことをいいます。
仮に,奨学金以外に借金がない場合であっても,奨学金について支払不能の状態にあれば,破産することができます。

Q 破産すると,家,自動車,家財道具などはすべて失ってしまうのですか。
A 破産手続は,建物・土地,自動車及び預貯金などを含めた全ての財産が清算の対象となるのが原則です。また,現在まで働いた分の退職金債権や,生命保険解約返戻金等も,その人の財産とみて,清算の対象とする運用がなされています。
しかし,当面の生活を保障する必要もあるため,一定の財産は清算の対象となりません(自由財産)。
例えば,生活に欠かせない家財道具,一定額の金銭・預金、一定額の生命保険解約返戻金,一定額の退職金支給見込額などは引き続き保有することができます。
自由財産としてどの範囲の財産の保有が認められるかについては,各地方裁判所によって,一定の基準が定められています。
その他,個別の事情に応じて,裁判所が,その他の財産についても保有を認めることがあります。
ただし,このような破産手続きとは別に,ローンが残っている自動車等は,債権者に引き揚げられ,債務の弁済に充てられることがあります。

(参考)東京地裁の個人破産の換価基準
東京地裁では,個人である破産者が有する次の財産については,原則として,破産手続における換価又は取立てをしません。
① 99万円に満つるまでの現金
② 残高が20万円以下の預貯金
③ 見込み額が20万円以下の預貯金
④ 処分見込額が20万円以下の自動車
⑤ 居住用家屋の敷金債権
⑥ 電話加入権
⑦ 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下である退職金債権
⑧ 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7
⑨ 家財道具
⑩ 差押えを禁止されている動産又は債権

Q 破産することによるデメリットはありますか。
A 破産手続が始まると,特定の資格については資格を失います。しかし,免責許可を受けてそれが確定するなど復権を得ると,そのような資格の制限はなくなります。
制限される資格の例としては,保険募集人,警備員,後見人,持分会社の社員などがあります。
また,会社の役員など委任契約に基づく関係は,破産手続開始決定によって,終了しますが,再び会社の役員に就任することは,法律上制限されません。

Q 破産することで家族にも迷惑が影響がありますか。
A 破産手続をしても,家族に法律上の影響は及びません。

Q 破産手続をしたことは,周りの人に知られませんか。
A 破産者は,官報という政府が発行する刊行物に住所・氏名などが記載されます。
官報は公開されていて,誰でも見ることができるものですが,多くの人は関心がなく,仕事上官報を確認する必要のある人以外は殆ど目にすることはないといえるでしょう。

Q 破産することで選挙権の行使ができなくなりませんか。
A そのようなことはありません。

Q 免責をうけた場合,保証人も免責されますか。
A 免責の効果は保証人には及びません。
したがって,保証人が免責を得るためには,保証人自身も破産手続開始申立て・免責許可申立てをして,免責許可決定を得る必要があります。

Q 破産手続をするには,どのくらいの費用がかかりますか。
A 個人の自己破産手続の場合,裁判所に納付する費用は,10万円から20万円とされるのが一般的です。
これについては,裁判所ごとに一定の目安となる運用基準が設けられていますので,弁護士に相談して費用の見通しを立てるのがよいでしょう。
また,そもそも破産手続の費用すら支払えない資産状況の場合,裁判所に納付する費用は,申立手数料(1500円)・予納郵券代(4000円)・官報公告費用(1万5000円程度)のみとなります。実際にも,個人の自己破産では,多くがこのケースに当たります。
破産手続費用に足る財産があるかどうかの判断は,各地方裁判所ごとに目安となる運用基準が設けられていますので,弁護士に相談して費用の見通しを立てるのがよいでしょう。
一般的な基準として,現金・預貯金などを含めた財産が20万円以下の場合には,破産手続費用が支払えない状況にあると判断されることが多いです。
この場合,オーバーローンの不動産や一定年数を経過した自動車などは,資産価値がないと判断されます。
なお,弁護士の費用は,裁判所に納付する破産手続費用とは別にかかります。

1 制度内救済-⑤申請書等の入手方法-

⑤申請書等の入手方法

Q 返還期限の猶予、減額返還、延滞金減免等の機構の奨学金の制度上の救済手段の適用を申し立てる際に、申請書等はどうやって入手することができますか。
また、その際に必要な提出書面等はどうやって知ることができますか。
A

  1. 返還期間猶予制度や新たに出来た減額返還制度については日本学生支援機構のHPから申請書や必要な添付書類、記載見本などが取得できるようになっています。
    日本学生支援機構に直接請求して猶予願等を請求することもできます。
    【奨学金返還期限猶予願・奨学金減額返還願の提出先及び請求先】
    独立行政法人 日本学生支援機構 奨学事業部 返還猶予課
    〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7
  2. 返還免除制度についても、機構のHPに説明が出ています。
    ただし、まず猶予をして様子を見るよう言われ、機構が認めない限り申請書を渡さないという不当な扱いがされているようなので、申請書の交付を強く求める必要があります。
    具体的な問合せ先は
    〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7 電話 03-6743-6044
    独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業部 返還免除課 となります。
  3. 返還期間変更願についても機構のHPから入手できます。
    問合せ及び提出先は、
    独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業部 返還促進課 です。
  4. 延滞金については、その説明だけは機構のHPで見ることが出来ますが、機構の奨学事業部に相談しても申請書類の入手が難しいのが実情です。申請の際に、減免願と事情書・返還計画書の提出が必要になります。

1 制度内救済-④返還免除-

④返還免除

Q 返還が免除される場合がありますか。その例として、どのような場合がありますか。
A 返還が免除される例としては、
①本人が死亡し返還ができなくなったとき
②精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失又は労働能力に高度の制限を有し(症状固定または回復の可能性がないことを要する)、返還ができなくなったとき(注)
③大学院生の無利子奨学金で、特に優れた業績による返還免除を願い出て認められた場合
などに全部又は一部の免除ができるなどとされています。
(注) 回復の可能性との関係で、何度か猶予を繰り返さないと免除の申請ができないと言われたケースがありますが、制度上はそのような制限はないはずです。
※ 免除制度の利用にも、延滞金の解消が必要だとされています。

(参考)本人が死亡した場合の返還免除制度と保証人
本人が死亡した場合、保証人は当然には返還免除となるわけではないようです。
一部情報によると、以前は、本人名の死亡届が提出されると連帯保証人と保証人も 自動的に返還免除とされていたようです。しかし、現在では、「返還免除願」を提出し、保証人が返還できない理由(例えば「年金生活等」)が認められると、免除となる扱いがなされているようです。
なお、本人が死亡した場合に保証人が返還するときの延滞金の減免については上記③延滞金減免を参照して下さい。

(解説)免除の願出に必要な書類
死亡による免除のとき
(1)奨学金返還免除願
 (相続人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は相続人)
(2) 本人死亡記載の戸籍抄本、個人事項証明書か住民票等公的証明書
 (コピー不可)

精神若しくは身体の障害による免除のとき
(1) 奨学金返還免除願
 (本人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は本人のみ)
(2) 返還する事ができなくなった事情を証する書類
 (家庭状況書:本人及び連帯保証人の状況。連帯保証人の資力要件は年収300万円以下とのこと。機関保証制度加入者は本人の状況)
(3) 医師又は歯科医師の診断書
 (日本学生支援機構所定の用紙)
※ 教育職の免除制度は1998年3月31日に廃止されました。
※ 大学院無利子奨学金貸与者の教育職・研究職免除制度は2004年3月31日に廃止されました。

1 制度内救済-③延滞金減免-

③延滞金減免

Q 大学で有利子奨学金を400万円借り、200万円返したところで精神疾患から失業し、その後、奨学金を返せないでいたところ、機構から、高額の延滞金を含めて請求を受けました。そこで、昨年からアルバイトをしながら毎月少しずつ返済していますが、それにもかかわらず請求金額が増えています。どうしてでしょうか。
A 返還金の充当順位は督促費用,延滞金,利息,割賦金(利息を除く)の順になります。質問の場合、延滞金は、現在残っている元金に対して年利10%かかりますので、返済額がその時発生している延滞金と利息の金額に満たないと、元金に充当されず、そのため元金は減らずに、逆に元金に更に延滞金が付加されることによって、返しても返しても金額が減らず、むしろ増えていくという状態になる場合があります。
延滞金についての詳細は以下のとおりです。

(解説)延滞金
第一種奨学金
2004年度以前の奨学生
 =約束の返還期日を6ヶ月過ぎるごとに、延滞している元金に対し、5%の延滞金。
2005年4月以降の奨学生
 =延滞している元金に対し、年(365日)あたり10%の割合で返還期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金。

第二種奨学金
返還期日を過ぎると、延滞している割賦金(利息を除く)の額に対し、年(365日)あたり10%の割合で返還期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金。

※本人が延滞すると、連帯保証人・保証人へ請求されます。
※機構との相談がなく延滞状態が9ヶ月続くと法的手続が取られることがあります。

Q 延滞金が減免される場合がありますか。どのような場合に減免されますか。
A 延滞金が減免される場合としては、次のようなものがあります。
①本人、連帯保証人又は保証人の責めに帰することができない事由により延滞金が生じて延滞金を請求することができないことが適当でないと機構が認定したとき
②以下のアイウいずれかに該当し、分割返還計画書が提出され、これを機構が承認した場合
 ア 本人が死亡又は精神的若しくは身体の障害により返還ができない状態で、連帯保証人又は保証人が返還するとき
 イ 本人、連帯保証人及び保証人から返還することが困難で第三者が返還するとき
 ウ 本人からの返還が困難な状態にある場合で、連帯保証人又は保証人が最終の割賦金の返還期日の5年以上前までに返済未納額の全部を分割返還計画書に従い1 年の期間内に返還するとき
③本人からの返還が困難な状態にある場合で、連帯保証人、保証人又は第三者が最終の割賦金の返還期日の5年以上前までに返済未済額の全部を一時に返還するとき

(解説)延滞金減免制度
延滞金に関して「延滞金の減免に関する施行細則」が2005年2月4日に施行され、2010年一部改訂されています。
しかし、減免を願い出る書式は一般的には入手できないようです。延滞金減免の申請に必要な書類を機構から直接入手する場合は、「返還係」に施行細則に基づいて申請する旨を伝えることから始めます。

1 制度内救済-②減額返還制度-

②減額返還制度

Q 大学で奨学金を借り毎月2万円返しています。不況で収入が減り月2万円を返済に当てることができません。返済額を減らすことはできますか。
A 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方に対して、一定の要件に合致する場合、一定期間、1回当たりの当初割賦金を2分の1に減額して、減額返還適用期間(最長10年)に応じた分の返還期間を延長する制度(減額返還)があります。
※ 返還期間が延長されますが、第二種奨学金における利息の総支払額に変更はありません。
※ 機関保証制度においては、保証機関が延長されることによる保証料の追加徴収はありません。

(解説)減額返還制度の適用条件

  1. 災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること。
    経済的事由の場合は、目安として給与所得者は年間収入300万円以下、それ以外の場合は所得200万円以下。
  2. 願い出の時点で延滞していないこと。
    延滞金が発生している場合には、延滞金を全て支払って延滞を解消しなければ願い出ができません。
  3. リレー口座加入者であること。
    リレー口座(奨学金を金融機関の口座から自動引き落しで支払うための口座)未加入の方については、リレー口座手続きの終了後に、「預・貯金者控」(金融機関受付印があるもの)のコピーを「奨学金減額返還願」に添付して願い出てください。
  4. 月賦により返還していること。
    月賦以外の返還方法(年賦、半年賦、月賦・半年賦併用)で返還している方は、減額返還の承認により自動的に月賦の返還方法に変更され、減額返還の終了後も継続されます。
    ※ 月賦・半年賦併用返還の方は、減額返還適用後も月賦返還額は適用前とほぼ同額となります(月賦返還へ変更した時点で月賦返還額が倍額となり、それを1/2に減額するため。)ただし、1月・7月の半年賦分はなくなります。
  5. 個人信用情報の取扱に関する同意書が提出されていること。
    平成21年度以降に機構の奨学生として採用されるには、同意書の提出が奨学金貸与の条件とされ、それ以前の奨学生については同意書の提出は任意ですが、減額返還制度を利用するには、平成21年度以前の奨学生についても同意書の提出が必要です。

1 制度内救済-①返還期限の猶予-

①返還期限の猶予

Q 3月に大学を卒業しましたが、新卒採用されず現在も就活中です。アルバイトをしていますが、収入が少なく、機構の奨学金を二つ借りていたので返還額が大きく返還できそうにありません。奨学金の返還を一定期間猶予してくれる制度はありますか。
A 一定の返還できない事情があるとき、願い出と証明書を提出して、返還を一時停止して先延ばしする制度(返還期限の猶予制度)があります。返還期限の猶予が認められると、猶予期間中は利息と延滞金が発生しません。一度の願い出で最大1年間猶予することができます。
全額を猶予する方式と半額だけ猶予する方式があります。
第1種と第2種の両方を利用している場合、金額を合計して返済期間を延ばして(最長20年)毎月の負担額を減らす方法や、一時的に片方の奨学金のみ猶予を申請する方法もあります。

(解説)返還期限の猶予
・期間;通算で60ヶ月(5年)が限度。ただし災害、傷病、生活保護受給中、産休
・育休中、大学等在学、海外派遣の場合は制限なし
・「経済困難」認定の所得;給与所得者は年収(税込)が300万円以下、その他は年間所得(必要経費等控除)が200万円以下が目安
・必要書類;猶予願用紙は機構HPから入手可。
 →必要書類は機構のHPで確認
 (返還期限の猶予がなされる場合)
 要返還者(本人)が災害又は傷病により返還するのが困難になったとき
 高等学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校の高等課程などに在学している場合
 外国の学校にて在学又は研究に従事している場合
 生活保護を受けているとき
 その他やむを得ない事由により返還が著しく困難(失業、経済困難。原則として給与所得者は年収300万円以下、それ以外の所得者は年収200万円以下だが、例外あり)
 特に優れた業績による返還免除を願い出たとき
 産前産後の休業期間、育児休業期間などで返済が著しく困難になったとき
 青年海外協力隊などによる海外派遣の場合
 その他法令に基づく事由により返還できない場合

Q 5年前に失職し、その後、派遣社員等で年収200万円以下となり、奨学金が返せないまま延滞状態が続いていました。支払いが困難であった時期に遡って返還期限の猶予を受けることはできますか。
A 過去に返還期限の猶予に該当する事由があれば、過去にさかのぼって猶予申請をすることになります。
但し、これには様々な利用上の条件があるので注意が必要です(後記「※」参照)。

(解説)複数年の猶予申請
奨学金返還期限猶予願は1年ごとに証明書を添えて願い出が必要です。
複数年猶予を希望される場合は、延滞が始まった年月から1年ごとに「返還期限猶予願」と「所得証明書」等事由に合った証明書を添付して願い出ていただくことにより審査を致します。ただし、猶予期間は災害・傷病・生活保護受給中等の場合を除き通算5年(60ヶ月)が限度です。

(例)2008年6月分から延滞、2012年5月まで4年間を経済困難で猶予希望
(猶予後の返還開始期日2012年6月)猶予願は4枚必要(1年ごとに作成)
 希望猶予期間
  (1)2008年6月から2009年5月まで
  (2)2009年6月から2010年5月まで
  (3)2010年6月から2011年5月まで
  (4)2011年6月から2012年5月まで(12ヶ月以内の希望する月まで)

※延滞の解消が必要
過去に遡って返還期限の猶予を申請する際に、遡って返還期限の猶予をしても解消されない延滞金がある場合には、その延滞金を支払って延滞を解消しなければ、猶予の審査を受けられない扱いがなされているようです。
「内規」と呼ばれる非公表の基準によってそのような扱いがなされているとのことであり、不当だと思われます。